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<粒子線治療>先進医療に継続容認 全症例登録条件に

2016.01.19

学会が他の治療と比べた優位性を示せていないことが問題になっていたがんの粒子線治療について、厚生労働省の先進医療会議は14日、実施施設が日本放射線腫瘍学会の統一的な治療方針の下で全症例を学会に登録することを条件に、引き続き先進医療として認めると決めた。一方、小児がんなど一部の治療は「既存治療より安全で有効」として、保険適用が適切と判断した。

粒子線治療は現在、転移のない「限局性固形がん」であれば部位を問わず全て先進医療の対象となっており、保険を使える治療との混合診療が例外的に認められている。しかし、同学会は昨年8月、前立腺がんなど一部のがんで、既存のエックス線治療と比べて「優位性を示すデータを集めることができなかった」とする報告書を同会議に提出。保険適用の可否が検討されていた。

新たな決定では、小児がんの陽子線治療と、切除不能な骨軟部がんの重粒子線治療は、他に有効な治療法がないため、照射費用も含めて保険適用を容認。一方、それ以外の大半のがんについては、先進医療のまま継続するとした。ただし、粒子線の照射頻度や線量を細かく規定した同学会の統一治療方針に実施施設が従い、全症例の登録制度に加わることが条件。今後、学会主導で有効性や安全性を示すデータを横断的に集めることになった。

今月の中央社会保険医療協議会で正式に決まり、4月の診療報酬改定に反映される見通し。

【ことば】粒子線治療

加速器でエネルギーを高めた粒子をがん細胞に照射し、破壊する治療。病巣を狙い撃ちでき、周辺の細胞へ与える影響が少ないのが長所。現在、照射する粒子に水素原子核(陽子)を使った「陽子線治療」の実施施設は国内10カ所、陽子より重い炭素を使う「重粒子線治療」の施設は5カ所ある。

◇解説 優位性有無検証、引き続き厳密に

先進医療制度は、将来の保険適用を目指して安全性や有効性の科学的証拠を集めることが目的で、特例的に混合診療が認められる優遇制度だ。これまでに2万1000人以上が約300万円の高い費用を払って粒子線治療を受けてきたが、治療法などが施設ごとにばらばらで、既存治療と効果を比較できる客観的なデータがそろわなかった。

今回、日本放射線腫瘍学会などが過去のデータを検証し、優位性の有無を分析したことは評価できる。その結果、小児がんなど一部のがんは保険適用が認められる方向になったが、先進医療会議で再三データ提出を求められながら長く対応してこなかった事実を、実施施設の医師らは重く受け止めるべきだろう。

学会は、前立腺がんなど先進医療に残ったがんについて、来年度から統一方針の下で全症例を登録し、治療データの収集を始める。巨大な加速器を使う粒子線治療は費用が膨らむ。14日の会議では「費用対効果の検証も必要だ」との意見が出た。引き続き優位性の有無を厳密に検証していくことが求められる。

2016.1.14 毎日新聞より

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