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がん社会を診る 喫煙で遺伝子変異、確認

2016.12.13

喫煙はがんの原因のトップで、日本人の場合、喫煙者のがん死亡リスクは、非喫煙者に比べて、男性で2倍、女性で1.6倍になります。臓器別にみると、男性では肺がん、喉頭がん、尿路がんなどでリスクが5倍前後に高まり、女性でも肺がんで4倍、子宮頸(けい)がんや咽頭がんでも2倍以上となります。

日本でのがん死亡のうち、男性で40%、女性で5%は喫煙が原因とされます。がん死亡数でトップの肺がんでは、男性で70%、女性で20%は喫煙が原因と推定されます。

たばこに含まれる発がん物質は60種類程度あり、多くは体内で活性化されたあとに細胞内にある遺伝子に結合し、突然変異を引き起こします。この結果、細胞をがん化する「がん遺伝子」が活性化されたり、がん化を抑えている「がん抑制遺伝子」が不活性化されたりして、細胞のがん化が起こると考えられています。

最近の研究で、喫煙によって遺伝子の変異が実際に増えていくことが確認されています。現在、様々ながんにおけるゲノム情報が明らかになりつつありますが、日本、米国、英国など17カ国が参加する国際がんゲノムコンソーシアムでは、1万6000人の患者のがん細胞の遺伝子情報をデータベース化し、研究者に公開しています。

コンソーシアムの共同研究グループが11月、喫煙と関連が深い17種類のがんを対象に、5243人のがん細胞の遺伝子情報を解析し、発表しました。喫煙者に発症したがんでは、非喫煙者のがんと比べて、明らかに突然変異の数が多いことが分かりました。

毎日1箱を1年間吸った場合に細胞に蓄積する遺伝子変異の数は、肺が150個で最も多く、喉頭で97個、口腔(こうくう)で23個などでした。1日の喫煙本数が多いほど、喫煙年数が長いほど、これらのがんのリスクが高まると考えられます。

毎日吸うたばこによって遺伝子に突然変異が積み重なっていることが実証されたわけですが、2014年の国民健康・栄養調査によると、喫煙率は前年に比べわずかながら増加しています。とくに就労率の増加にともなってか、女性の喫煙率が上昇していることが心配です。受動喫煙対策を含め、課題は山積しています。

2016.12.8 日本経済新聞より

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