2017.02.21
国立がん研究センターは、2000~03年にがんと診断された人の10年後の生存率は58.5%だったと16日付で発表した。10年生存率の算出は昨年に続き2回目で、0.3ポイント上昇した。06~08年に診断された人では、5年後の生存率が69.4%と判明。統計を取り始めた1997年の患者よりも約7ポイント高かった。
検診などによる早期発見の取り組みや、抗がん剤や放射線治療などがん医療の進歩が生存率の向上につながったとみられる。研究チームは「約10年以上前にがんにかかった人の生存率で、現在はさらに治療成績は向上している」と指摘。調査を担当した猿木信裕・群馬県衛生環境研究所長は「10年生存率は今後も改善していくと期待できる」と話している。
10年生存率は、全国の20施設で診断された約4万5千人を分析。患者の多い主ながんでは、胃がん67.3%、大腸がん69.2%、肝臓がん16.4%、肺がん32.6%だった。前立腺がん(94.5%)や甲状腺がん(89.3%)の経過が良い一方、自覚症状がほとんどなく早期発見が難しい膵臓(すいぞう)がんは5.1%と低かった。
がんの進行度を示すステージ別では、早期の「1期」と診断された人の生存率は全てのがんを合わせ85.3%だったが、リンパ節に転移するなど進んだ「3期」では40.9%に低下。早期に発見し治療を始めるほど経過の良いことがあらためて確認された。
部位別の生存率を5年後と10年後で比べると、胃がんや大腸がんはほぼ横ばいだったが、肝臓がんは34.1%から16.4%に大きく低下。肝機能が悪化している患者が多く、がん以外にも長期の療養が必要となる。乳がんも89.3%から81.7%に下がっており、再発が背景にあるとみられる。
部位別やステージ別、治療法別などの生存率は「全国がん(成人病)センター協議会」のホームページで公開される。
2017.2.16 日本経済新聞より
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