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がん細胞は進化する遺伝子解析、投薬治療に道

2014.02.03

がんは医学的に未解明な点が多く、ナゾだらけの手ごわい病だ。最近の研究から、ダーウィンが唱えた生物の進化論によく似た巧妙な手口を備え、環境に適応し生き残ったがん細胞だけが成長し、体をむしばんでいくことがわかってきた。今後の診断法や治療法に大きな変化をもたらすかもしれない。 患者数が多く、発見時には手遅れになっているケースが多い膵臓(すいぞう)がん。日米の研究グループは2013年、この難治がんが発生してから成長し、ほかの臓器に転移していく過程を「ダーウィン的進化」と呼んだ。モデル提唱者の一人である国立がん研究センター研究所の谷内田真一ユニット長は「がんの成長と転移の様子を遺伝子の突然変異に注目して調べ、モデルを作ると、ダーウィンが提唱した生物の進化論に似ていた」と話す。

モデル提唱のもとは、谷内田ユニット長が米ジョンズ・ホプキンス大学で同大の仲間らと10年に英科学誌ネイチャーに発表した論文。膵臓がんで死亡した患者を対象に、膵臓のほか、肺や肝臓、腹膜に転移したがん組織を丸ごと摘出し、約2万個の遺伝子ががんではない正常な細胞に比べてどのくらい変化しているのか網羅的に調べた。

がんは食べ物や紫外線、老化など様々な理由で複数の遺伝子に傷が入り、正常な細胞が異常な細胞に突然変異してできる。遺伝子の変化度合いを手掛かりに、がんの成長を追跡できるのではないかと考えた。

原発巣と呼ばれる膵臓に最初にできたがんを含めすべての臓器のがんに共通する遺伝子変異と、肺や肝臓など転移先だけにある遺伝子変異とに分かれることがわかった。前者の代表例は「KRAS」や「P53」という遺伝子の変異で、ある患者では三十数個見つかった。後者は転移が進む腹膜、肝臓、肺の順番で、突然変異の起こる遺伝子の種類が増えていた。

遺伝子の変異の仕方ごとにがん細胞が原発巣の中のどこにあるかを調べると、内側から外側という一定の方向に向かって変異の数が増えていた。外側のがん細胞ほど転移した細胞の遺伝子変異パターンに似ていた。「膵臓の細胞でばらばらに突然変異が起こり、各細胞が分裂を繰り返すなか、少ない酸素や栄養状態で有利に強く生きられるような遺伝子変異を獲得した細胞だけが生き残り、転移先でも広がったと考えられる」(谷内田ユニット長)。環境に適応した生物が生き残り、子孫を残すという進化論と似ていた。

がんが進化するという考えは前からあった。1980年代、細胞が分裂を繰り返すうちに傷ついた遺伝子がたまっていき段階的にがん細胞になる「多段階発がん説」を唱えたフォーゲルスタイン博士や、2002年に膵臓で同様の説を発表したルーバン博士らが予想していたが、具体的に調べる方法がなかった。2000年代半ば以降の遺伝子解析技術の進歩によって、患者のがん組織を使ってようやく証明された格好だ。

がんの進化がわかると一体何が変わるか。

腎臓がんの進化研究などで実績のある京都大学の小川誠司教授は「より早期の診断法や、効果のある抗がん剤の選択、薬への耐性や再発があるかどうかの判定法の開発などに結びつく」と話す。

谷内田ユニット長らは、膵臓がんの成長速度を細胞の遺伝子変異の蓄積状態から計算した。最初にある細胞で突然変異が起こってから膵臓の中で手術可能な1~2センチメートルのがんに成長するには十数年かかるという結果だった。「この間に手術で摘出できれば、5年生存率は今の10倍程度に上がる」(谷内田ユニット長)

しかし、膵臓の場合、現在の画像技術では発見できる人は少ない。血液に出てくるがん細胞のかけらのDNAから遺伝子の変異具合を判定できれば、早期の発見率が高まる可能性があるという。

抗がん剤を使い続けると効かなくなるがん細胞が出てくる耐性についても、「がん細胞の正確な遺伝子の変異状態を把握できれば、効かない抗がん剤を見分けられ、無駄な投与が避けられる」(小川教授)。

がんの進化をつぶさに追えば、攻略法も進化できるかもしれない。

2014.2.2 日本経済新聞より

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